sorry
君に
困った顔をさせたかった訳じゃない
呼ばれていない君の誕生会に
わたしは突然来てしまった
君にあからさまに迷惑顔をされて
帰ろうと思った
ここにいてはダメだと思った
でもあの人は
「いいのよ。居てちょうだい」
と言った
わたしは甘えてしまった
バースデーケーキは
スポンジよりもクリームの方が多くて
フォークでクリームをすくった
フォークでクリームをすくうように
あの人の命を
少しすくってしまっているだなんて
思ってもいなかった
わたしは子どもだった
君は泣いた
あの人が去ってしまったからだ
あれから何年も経って
君が笑っているときでさえ
その悲しみが透けて見えた
わたしには何が出来るだろう
すくってしまったもの
それはもう
返すことの出来ないもの
隣でウインナーコーヒーを飲む君は
「コーヒーよりクリームが好き」だと言う
君はわたしのコーヒーカップにも
クリームを入れようとした
「大丈夫、もうわたしは充分もらったんだ」